ノックアウト要件とは?ベテランほど当たり前に考えているけど、新人に伝えるのは難しい勘所
とある企業のDXフレンド、いねおけです
今回のテーマは
システムの「選定」に重要な判断基準の1つで
「これだけは外せない」「これが無いなら選ばない」といった要件を指します。
要件定義の3要件
システムの導入や入れ替えに向けて、序盤に検討を行うのが「要件定義」です。
要件定義では、システムに組み込む要望をまとめる作業を行います。
この要件定義は、その性質によってさらに3つに分解して考えると、整理・理解しやすくなります。
ノックアウト要件とは
システムの導入や入れ替えに向けて、
的外れなシステムを選択肢から除外する為に、
絶対に外せない要件として設定する審査ポイントのことを
ノックアウト要件、あるいは、ノックアウトファクターと呼びます。
ノックアウト要件の例
必要機能
例えば「プロジェクト管理ツール」の導入を検討していたとします
- ガントチャートを作りたい⇒スケジュール管理
- タスクチケットを発行したい⇒アサイン管理
- 起案~承認プロセスを実現したい⇒ワークフロー管理
などなど、プロジェクト管理といっても機能を分解して考えると様々あり、提供ベンダー毎に実現可能な機能には差異があります。
「これは絶対に必要な機能だ」という要件を決めましょう。
金額・費用
期待している効果に対して、導入金額や保守・運用費用が多くかかり過ぎることもNGです。
初期導入費用やランニングコストをノックアウト要件にするのも良いでしょう。
導入実績
システムが多くの企業に導入されているのか?自分の業界で使われているのか?
これまでに何社に導入した実績があるベンダー(パートナー)なのか?
といった実績をノックアウト要件とすることも、失敗を回避するという観点で非常に有効です。
ノックアウト要件に関する注意点
標準機能で判断すること
ノックアウト要件を設定してベンダーと話を進めてみると、「あれもこれも出来る」と、言葉巧みにかわされてしまうことがあります。
システム≒ソフトウェアなので、ある程度は何でも出来てしまうのですが、そこは要注意です。
アドオンや別注をしたパッケージソフトは、その後の保守難易度が劇的に難しくなってしまいます。
機能によるノックアウト要件は標準機能として対応可能か否かで判断する様にしましょう。
実は難しい「ノックアウト要件」の言語化
「これだけは絶対に叶えたい」
「これが無かったら選ばない」
こういった内容がノックアウト要件だということは伝わったかと思います
一方で、実際にシステム選定をする際に「このプロジェクトのノックアウト要件は何ですか?」と聞かれて、答えるのが難しかったりします。
ベテランも、ある程度感覚で「この機能は欲しい」「この製品は良い」「このベンダーは嫌だ」と選択しているケースが多いです。
もう一歩踏み込み、言語化して共有することでチーム全体の価値観が統一されます。
また、自分には無かった観点に気が付くことが出来ます。
ベテランだけではなく、若手の視点や感性を良いカタチで議論に乗せる為の「ガイド」としての効果も期待できるでしょう。
そんなの当たり前だろ
と、言うベテラン社員の気持ちもわかりますが、
だったら教えといてくださいよ
という、新人の気持ちもよく分かります。
同じ会社の中でもこうなってしまうのだから、発注元と発注先という別会社ではなおさらです。
こういったスレ違いや検討漏れを防ぐためにも、ノックアウト要件の言語化は有効だと言えそうです。
まとめ
ノックアウト要件、あるいは、ノックアウトファクターとは、
システム選定における「絶対に外せない要件」を指します。
学校のテストに例えるならば、「必ず名前を書くこと」に相当するかもしれませんね。
中身の設問応答が100点でも、名前が無ければゼロ点扱い、の様なイメージです。
これを設定することで、的外れな案件を除外することが出来ます。
特に、システム導入をチームで進める場合には「そんなの当たり前」と決めつけずに、言語化することが大切で、それによる気づきや出戻り回避が期待できることを押さえておきましょう。
こちらの記事も是非、合わせて参考にしてください
▷リンク:【機能要件】とは?実現したいことを正しく定義して伝える
▷リンク:【DX】の「何やればいい?」が解決する40個のやることを提案します
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!