ダイナミック・ケイパビリティとは?VUCA時代の企業に求められる能力
とある企業のDXパートナー、いねおけです
IT系の専門用語や略語をわかりやすく解説します
今回のテーマは
環境の変化に応じて、自社の経営資源を適切に組み合わせ、変化に対応し、競争優位を維持・構築する能力のことです
以下の順番で紹介します
企業が時代の変化に取り残されない為に必要な能力です!
ダイナミック・ケイパビリティの意味
ダイナミック・ケイパビリティとは
環境の変化に応じて、自社の経営資源を適切に組み合わせ、変化に対応し、競争優位を維持・構築する能力のことを指します
ダイナミック・ケイパビリティには、以下の3つの能力が含まれます
感知(Sensing)
感知とは、環境変化を察知し自社にとっての新たな機会と脅威を特定・評価する能力です
環境変化を察知するためには、市場の動向、競合他社の動向、技術の進歩など、さまざまな情報を収集・分析する必要があります
自動車メーカーを例に挙げると、脱炭素など環境保護の意識向上を素早く把握することで、ガソリン車販売に対する規制強化や消費者意識の転換などの脅威や、電気自動車ビジネスという新たな機会を認識・評価する能力を指します
捕捉(Seizing)
補足とは、適切な機会を捉える能力のことを指します
さらに、感知した脅威を避け機会を捉えるために、社内外の資源の結合や再活用を通じて新しい商品やサービスを事業化する能力が含まれます
例としては、自社で既に保有している車体製造設備や関連技術と、社外の高性能電池技術を組み合わせることで、電気自動車ビジネスを実行するといった能力を指します
変容(Transforming)
変容とは、社内外の資源(設備・人材・技術など)の再編成を通じて持続的な競争力を維持する能力です
実現するためには、組織を活性化させ、変化を受け入れられる文化を醸成することが重要です
また、成果を上げるためには、目標を明確にし、進捗状況を可視化して、適宜軌道修正を行うことが重要です
VUCAの時代について
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です
VUCAの時代とは、これらの要素が複雑に絡み合い、予測が困難で、変化のスピードが速い時代のことを指します
先行きが不透明で、将来の予測が困難なVUCAの時代においては、企業は、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが求められます
ダイナミック・ケイパビリティは、VUCAの時代において企業が競争優位を維持・構築するために必要な能力であるとされています
ダイナミック・ケイパビリティが必要とされる理由
ダイナミック・ケイパビリティが重要である理由は、以下の3つが挙げられます。
- 環境の変化に対応するため
- 競争優位を維持・構築するため
- 新たな価値を創造するため
VUCAの時代においては、環境の変化が激しく、将来の予測が困難です
ダイナミック・ケイパビリティを備えている企業は、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し機会を捉えることができます。
また、ダイナミック・ケイパビリティを備えている企業は、競合他社との差別化を図り、競争優位を維持・構築することができます
さらに、ダイナミック・ケイパビリティを備えている企業は、新たな価値を創造し、市場をリードすることができます
ダイナミック・ケイパビリティの事例
経済産業省から発行された2020年版ものづくり白書より事例を2つご紹介します
凄く短く要約して紹介します
詳しく知りたい方は参照元の文書を御確認ください
富士フイルムホールディングス(株)
富士フイルムは、写真フィルム事業の衰退を予見し、デジタルカメラの開発をいち早く開始
その後も、M&Aや新規事業の立ち上げなど、積極的な変革により、ヘルスケア事業を主力に成長を遂げた
ダイキン工業(株)
ダイキンは空調機の専用メーカーで、全世界における 100 箇所以上の生産拠点を構えている
現地化・地産地消によるメリットを活かす事と、各地の自立による全体としてのムダや大きな技術革新が起きにくいというデメリットを解消する事、その双方を実現する為に「ベースモデル開発」や「生産ラインを構成する要素のモジュール化」といった改革を行った
まとめ
ダイナミック・ケイパビリティについて解説しました
変化が激しく、先行きを見通すことが困難なVUCAの時代にこそ必要となる、変化に対応し競争優位を維持・構築する能力が「ダイナミック・ケイパビリティ」です
ダイナミック・ケイパビリティでは感知・補足・変容という3つの能力が重要となります
最近では「DXを推進せよ」といったプロジェクトを推進している企業、あるいはその担当者の方が沢山いるのではないでしょうか
デジタル・トランスフォーメーション(DX)のうち「デジタル」はあくまで手段です
目的である「トランスフォーメーション」実現の為には時代に合わせてどう変化するかを正しくデザインする事が重要であり、その為にはダイナミック・ケイパビリティの向上が必須であると言えそうです