製造業
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書籍紹介【凄い製品開発】DXより先に「製造業のありたい姿」を考える

peiguri
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とある企業のDXパートナー、いねおけです

豊かな日本で暮らす為
日本プロダクト(製品)の競争力向上に貢献したい

凄い製品開発(書籍)

コチラを紹介します

「よい製品をつくりたい」
DX推進など、テクノロジーに主眼を置いてカイゼン活動を進めていると忘れてしまいそうになりますが、製造業に従事するからには本質的にはよい製品をつくり、顧客に届ける事が目的であり、求められることです

本書(凄い製品開発)では、製造業で実践すべき理論や持つべきマインドを、自動車メーカーなど様々な企業の実例と併せて紹介されています

本書(凄い製品開発)を読むと、「よい製品をつくりたい!」「開発プロセスを改善したい!」
こういったモチベーションが向上し、体系立ててプロセス改革を進められるようになります

今回は

  1. 著者ジム・モーガン
  2. リーン製品開発
  3. フォードの業績V字回復
  4. よい製品を開発する

こんな順番で紹介していきます

いーねくん
いーねくん

製品開発の究極形を目指す本!
実現難易度は高いけど本質的です

著者ジム・モーガン

本書(凄い製品開発)の著者である「ジム・モーガン」氏は、アラン・ムラリー氏と共にアメリカの自動車メーカー「フォード」の経営再建に貢献

上級幹部層のキーパーソンでありフォード再建の中核的存在であった彼は、製品と、製品開発能力の双方を改革する活動においてその力を発揮したそうです

よい製品をつくること、および、
自社の製品開発能力の向上

これらは「製造業」に関わる私達にとって共通のテーマであり、目指すべき目標です

日本のトヨタやマツダの働き方に影響を受けた彼が、そのノウハウを米国トップクラスの自動車メーカー「フォード」で発揮することで、企業体質を改善し、部品メーカなど取引先との関係を良化させ、良い製品を作り出し、従業員満足度を向上し、顧客満足度を向上させるストーリーはジム・モーガン氏だからこそ語れる実話であり、歴史だといえるでしょう

リーン製品開発

本書(凄い製品開発)においてはリーン製品・プロセス開発(LPPD、Lean Product and Process Development)という言葉がキーワードになります

リーンという概念は、リーン生産方式≒トヨタ式生産システムがあまりにも有名であり

最高品質、納期遵守、適正数量、少在庫、短時間生産…
これらを実現するトヨタ式生産システムの効果はあまりにも大きく、他のメーカーもできるだけそれを真似しようとしたし、今でも製造業の現場に多大な影響を与えています

有名であるが故に、リーン = トヨタ式生産システムだと勘違いする人が多いのですが、
実際に、私が設計・開発過程の業務プロセス改善にあたって「リーン製品・プロセス開発」を検討するべきだと主張をしても「カンバン方式でしょ?あれは製造工程の改善、在庫管理の技法だから関係ないよ」と言われてしまうケースが多くあります

そうでは無いのです
開発インプット、設計、製造など製品のライフサイクル全般をあるべき姿にして、良い製品を、手戻りなく、可能な限り安く設計、製造する技術があるのです

ヒト・プロセス・ツールを統合してシステムを構築することで卓越した成果を生み出す手法がリーン製品開発なのです

本書(凄い製品開発)ではリーン製品・プロセス開発(LPPD、Lean Product and Process Development)がどのような思想で形成され、どんな成果をあげるのか、事例を交えて語られます
理論だけではなく、実際に現場を動かし改善したという説得力は、製造業に従事する多くの人に響くと思います

フォードの業績V字回復

アメリカの自動車メーカーである「フォード」の悲惨な状態と、その改善過程が紹介されます

ひどい状態のフォード

アラン・ムラリー氏(フォード・モーター元CEO兼社長)の言葉で当時の(改善前の)フォードについてこの様に語られております

私がフォードに行ってみると、問題は私が考えたほどには悪くなかった。

それは考えたより、ずっと、ずっと、ひどかったのだ。

アラン・ムラリー

イチ会社員の立場からしても、想像するだけで胃が痛くなる様な心象ですね
経営者として会社の立て直しをしなくてはならない立場のプレッシャーは想像を絶するものだったことでしょう

改善後のフォード

そんな状態から立て直しを図り、見事な復活を遂げております

  • 利益:2006年の170億ドル赤字から、2013年の86億ドルの黒字に
  • 金型設計リードタイムを50%短縮
  • 社内の金型、機械工具の品質問題が80%低減
  • 開発の生産性は20%向上
  • 社員満足度の指標が26%向上

定量的な改善効果を一部抜粋したものがこちらです
普段からコツコツと改善を積み重ねている方が見たらわかるはずです
「凄まじい改善効果」であると!

ここで紹介したフォードの事例は本書(凄い製品開発)におけるごく一部の内容です
著者であるジム・モーガン氏、あるいは、元CEOアラン・ムラリー氏の言葉を、本書(凄い製品開発)から直に感じることで、あなたの職場や製品開発の飛躍にお役立てください

よい製品を開発する

よいメーカーは、よい製品を開発する
言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、これを当たり前にできることが難しいのです

特に会社組織として多くの人が従事してモノづくりを進める過程においては、想いや思想は希釈されがちです

よい製品を開発する為の手法として本書(凄い製品開発)では「フロントローディング」を提案しています

フロントローディングというと、開発工程の一部をラップ(並列処理)させて、トータルの開発期間を短縮する手法をイメージする方が多いのではないでしょうか

本書(凄い製品開発)ではフロントローディングを正しい方法で行う為のアドバイスや事例が紹介されています

フロントローディングを正しく行うために
  • 深い顧客理解
    • データだけではなく、ゲンバを理解し、顧客との感情的なつながりを共有する
  • セット-ベース設計
    • 点のソリューションから始めるのではなく、特定のソリューションに絞り込む前に幅広く探索する
  • 学習の為に実験する
    • 検証が必要、議論で時間を浪費しない
    • 狙いを絞ったプロトタイピングで素早くPDCAを回す
  • コンセプト・ペーパー
    • ファジー(曖昧)な概念から始めたプロジェクトをコンセプト・ペーパーで具現化する
    • 単なる報告書ではなく、主要な利害関係者を巻き込む過程でアイコンになる

「よい製品」を開発する手法は、製造業に従事する誰もが知りたい情報ではないでしょうか

その一つの解としてフロントローディングの提案と、フロントローディングの正しい実現方法が紹介されております

ここでサマリーした内容からは感じとることが難しいかもしれませんね

本書(凄い製品開発)を読めば、理論(こうあるべき)が実例(このように実現した)を交えて語られており、「フロントローディングってこうやるのか」「点を結ぶのではなく、面でとらえて整える作業なのか」と腹おち出来るはず

より良いモノづくりの一助となる知識の習得と、思想の理解に本書(凄い製品開発)をお役立てください

まとめ

製造業に役立つ書籍を紹介しました

DXというと、デジタル技術の導入検討が先行しがちなのですが、製造プロセスの改善・改革という観点では、本書にある内容の方が本質的であると感じます

「トヨタ式の体質」は生産工程の枠には収まらず、製品規格〜販売流通、市場FBに至る製品ライフサイクル全般に影響していることが有識者に解析・解説されて体系的にまとめられています

そう考えると、エンジニアリングチェーンDXの代表的なソリューションであるPLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)と「リーン製品プロセス開発」の両者は守備範囲が同じであり、かつ、後者は圧倒的な成功事例です

学びを求めない理由などないと、私は考えます

ABOUT ME
いねおけ
いねおけ
とある企業のDXパートナー
いねおけと申します。 好きなモノを推す仕事をしたいと悩んだ結果、企業の改善・改革を担当出来るDX推進関連の仕事に転職。 「こうありたい」を語るのが好きです。 「なんちゃってでイイからやっちゃって!」精神でDXスタートをお手伝いします。
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