【DXセレクション2024】中小企業に学ぶ優良なDXの成功事例
とある社畜のDX担当、いねおけです。
今回のテーマは
経済産業省が中堅・中小企業等のモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション」として発掘・選定しています。
▷リンク:DXセレクション(中堅・中小企業等のDX優良事例選定) (METI/経済産業省)
本セレクションのレポートを分析します。
DXセレクションを参考にする
対象が「中小企業」ということで、受賞各社の従業員数は多くないです。しかし、だからこそ「人」に対するアプローチが重要であり、「人」がリードしてこそ会社の変革が進むのだということがよくわかります。
「会社を構成しているのは人だから、その全員が変われば会社が変わるよね」という発想の実例です。人・組織が変革していく様子について、リアリティを持って想像することができる社員数だなと感じました。「自社のDXを推進したい」と悩んでいる人であれば、会社規模に関わらず参考になる優良な資料です。
ビジョン(ありたい姿、ToBe像)を掲げ、従業員が自分事として改革に取り組むことで、会社全体が良い方向に進み、従業員の生活が豊かになり、取引先にも喜ばれる。DXの教科書的な事例を知ることができます。
自社が中小企業であればそのまま参考にできる部分が多くあるでしょうし、大きな会社の場合でも、発想を真似て範囲を限定したPoCに取り掛かるなど良いかもしれません。
この記事では、DXセレクションのグランプリ・準グランプリを獲得した5社について、選定企業レポート(DXセレクション2024)の内容を分析します。
分析は、各社のレポート記事から「PPT & S」に関するキーワードを抽出する方式をとります。
People(人)
Process(プロセス、業務フロー)
Technology(テクノロジー、技術)
Supply Chain(サプライチェーン)
浜松倉庫株式会社(倉庫業)
DXによって実現したい経営ビジョン・ビジネスモデル
「お客様に対して持続可能で豊かな社会を実現させる物流サービスの提供」を実現させる ために「収益力の強化」「高付加価値サービスの提供」「経営基盤の強化」を進める。
成果
生産性が30%向上し、新センターに必要な人員(10名)を確保することができた。
従業員のマインドチェンジができ、デジタルを活用した業務改善プランを立案可能になった。
レポート分析
People(人)
- 若手管理職を中心とした社内プロジェクト
- 集中的に社内システムや業務改善の仕組みを学ぶ研修
- 従業員のDXに対するマインドが向上
- 社長自ら積極的に社内発信
Process(プロセス、業務フロー)
- 毎月DX推進担当が各営業所を定期訪問
- 業務改革を踏まえた基幹システム刷新
- お客様に対して、様々なデータを提示することができるように
Technology(テクノロジー、技術)
- ロボット
- AI
- BIツール
- 新倉庫
Supply Chain(サプライチェーン)
- お客様を巻き込む(顧客アンケートの実施・データ提供いただく手段を複数用意)
株式会社リノメタル(金属加工業)
DXによって実現したい経営ビジョン・ビジネスモデル
DX推進により、元々掲げている経営ビジョン「機能部品を作り”世の中にないと困る”と言われる会社」「モノづくりの発展に寄与 しながら200年続く会社」「”この会社で働いていて良かった!”と感じる人があふれる会社」を実現したいと思っている。
成果
大手自動車部品メーカー様からの大型案件受注に成功し、年間売上が12.7億円飛躍。
全社的に「業務効率化、ノウハウ蓄積、情報一元管理、コミュニケーション・コンプライアンス・セキュリティレベルの向上」が前進。
レポート分析
People(人)
- アドラー心理学を活用した仕組みづくりを行うことでチームビルディングを促進
- 「3年後の未来」や「戦略」「目標」などを具体的に描き、社内に掲示
- DX環境を活かすための制度やIT人材を育成するための制度
- 給料のベースアップや新しい手当の支給
- 従業員の心を動かし会社とともに 歩んでもらう
- 経営層や担当者の皆さんの中にある「思い」を「言葉」で伝え続ける
Process(プロセス、業務フロー)
- 「知識・知恵・情報」をデジタルデータ化しいつでも活用できるようにする
- DXはスピードが重要であるため「不完全である勇気をもって70点で動き出す」
- 「グローバルでのシステム開発競争には参加しない」と決め、自社開発は行わず導入したシステムを使い倒す
Technology(テクノロジー、技術)
- 5年間で28個のクラウドサービスを導入
- 世界中にアンテナを張りクラウドサービス最新情報の入手
Supply Chain(サプライチェーン)
- 既存顧客への生産計画変更・追加オーダーへの柔軟な 対応
- 新規顧客開拓
株式会社トーシンパートナーズホールディングス(不動産業)
DXによって実現したい経営ビジョン・ビジネスモデル
ビジョン2025に掲げる「新しい成功のカタチとさらなる安心をつくる」のもと、新領域の探索と既存領域の深耕を目指し、 不動産の力で日本を笑顔にしたい。
成果
独自アプリの開発並びにIoT技術との連携等、顧客サポートの活性化を推進。
ノーコードツール並びにRPAを活用し、グループ全社の業務効率化によって年間約8,800時間の工数削減を実現。
レポート分析
People(人)
- 社内研修など社員のDXスキル向上に向けた施策を推進
- 社長自ら全社朝礼等でDXの重要性について語る
Process(プロセス、業務フロー)
- 年に数回、全社の情報資産の見直しを実施
- 各部署1名程度エバン ジェリストを選出し、現場と情報システム部による共創の形を作った
- 情報システム部が現場社員のスキルアップに向けた伴走支援
Technology(テクノロジー、技術)
- AI(モデリングツール)を活用した早期賃貸付けプロジェクトを始動
- 賃貸募集時における適正賃料生成モデルを作成
- AutoMLツール
- ノーコードツール
Supply Chain(サプライチェーン)
- 顧客サポートの活性化
株式会社西原商事ホールディングス(廃棄物処理業)
▷リンク:BEETLE |産業廃棄物の処理、収集運搬、回収|福岡県北九州市 | 株式会社 西原商事
DXによって実現したい経営ビジョン・ビジネスモデル
多様化する社会課題を抱える企業を支援するため、環境分野において企業と企業が壁を乗り越え協調する『非競争 領域の最適化』の仕組みを構築し、デジタルの活用によって環境と経済の良好なバランスを図り、企業の成長を支援 する。
成果
社内業務のDXにより削減された時間を、人材育成や新たな利益創出のための時間に割り当てることが出来た。
廃棄物処理の業界全体のDXに繋げている。
レポート分析
People(人)
- 既存社員へ新たな知識の習得の機会
- DX・GX・SX人材の育成
- 人材の新規採用、新卒の獲得
- 社内報等で定期的な情報発信
- システムやアプリケーションの操作に不慣れな社員(ドライバーや工場作業員)への教育
Process(プロセス、業務フロー)
- 自社及び同業界のDXを推進する為のスキームの構築
- CISO(情報セキュリティ管理責任者)を配置
Technology(テクノロジー、技術)
- システムやアプリの開発・運用・外販
- 直感的に操作できるUI/UXの充実
- 小売業を中心に全国7,000事業場の情報管理
- 全国3,000社を超える同業他社とのネットワークを構築
Supply Chain(サプライチェーン)
- 企業担当者による廃棄物情報へのアクセスを簡便化
- 法令遵守の運用支援
- 廃棄物削減やリサイクル率向上等の環境負荷低減
山口産業株式会社(製造業)
DXによって実現したい経営ビジョン・ビジネスモデル
ビジネス環境や社会情勢の激しい変化にも柔軟に対応し、顧客や社会のニーズに応え続ける新たなビジネスモ デル「デジタル武装された経験と技術による課題解決型のモノづくり 」「需要と課題起点で、新たな価値を創造す る変化し続けるProfit Center 」を確立し、膜構造による持続可能な社会を実現する。
成果
HP上で製品サイズや仕様を2Dでシミュレーションできるシステムを実装し、販売支援に繋げている。
資材高騰を受けて、完成品原価分析システムなどを自社開発し、生産工程効率化を実現。
レポート分析
People(人)
- DX人材教育による組織力強化
- DXによる従業員満足度 向上と働き方改革
- 人事評価制度
- 資格取得支援制度
- 主体性を持たせる
Process(プロセス、業務フロー)
- システムや運用ルールを共有・実践
Technology(テクノロジー、技術)
- 情報分析強化
- 情報共有(デジタルビジョン構想)
- 5年で40種類以上のシステムやツールを導入
- 取引オンライン化、協力会社とのクラウドによる共有
Supply Chain(サプライチェーン)
- 社外のステークホルダーへの貢献
まとめ
DXセレクション2024レポートを「PPT & S」の観点で分析しました。
中小企業ならではのフットワークの軽さや、ビジョンを共有し一丸となった組織の強さを感じる内容でした。
「会社は人で出来ている。人が変われば会社が変わる。」これに尽きるなと思います。人が変わった結果として、利用するツールがデジタルなんですね。
こちらの記事も是非、合わせて参考にしてください。
▷リンク:【DX】の「何やればいい?」が解決する40個のやることを提案します
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!