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【DX】の「何やればいい?」が解決する40個のやることを提案します

peiguri
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とある社畜のDX担当、いねおけです。

今回は「我が社のDXを推進せよ」という命題(無茶ぶり)に悩むIT部門社員、情シス、DX推進担当に向けた記事です。ずばりテーマは…

【DXネタ】たくさん紹介します

もしかするとあなたの上司や経営陣は「流行ってるからDXやろう」とか、「早くDX買ってきて!テレビCMも沢山やってるじゃん」といった理解でDXを進めようとしていませんか?
あるいは、上司や経営陣は大丈夫でも、多くの社員がそんな状態だったりしないでしょうか?

「DXとはどんな活動をすることか」に明確な定義はありません。どこから手をつけたらいいのか分からなくなりがちです。従来の製品やサービスを生み出すという観点では、素晴らしいノウハウを有している企業でも、DXのノウハウは持っていないことが多いです。
そのせいもあって「DXで儲かるのはIT屋だけ」という、空しい構図が出来上がりがちです。

「周囲の理解が無い」、「何をやったら良いか分からない」こんな状態でDX活動を開始しても100%失敗します

ではどうするか?この記事を参考にして、もがいてください!
DX推進に関わる人が対応するべきネタを沢山書き出しました。この中の内容を少しずつ実施することが出来れば、少しずつでも成功確立が向上します。私自身、ずーっともがき続けていますが、やればやるだけ成果が出ることを実感しているネタばかりです。一緒にもがきましょう!

DXは改革です。企業の体質や文化を変えることで、時代の変化に対応することが目的であり、デジタル利用はその手段でしかありません。企業の仕組みを変えること、中で働く人のマインドを変えること、商いの骨格を変えることがDXなので、ちょっとやそっとでは出来ませんし、成果を出すのに時間がかかります。

DXの成功はすなわちビジネスの成功です!
成功すれば、あなたの会社の経営陣は喜び、上司も喜び、あなたの評価も向上するでしょう!ですが、DX成功の影響はそれだけでは止まりません。社外にも影響を与えます。顧客が喜び、社会が豊かになります!

そんな未来につながるDXネタを沢山用意しました!1つでも参考になるものがあれば持って帰ってください。

言葉や知識を知る

DXを推進する上で必要な知識や言葉を紹介します。前提条件としてこれらの内容を把握しておくとDXをどの方向に、どの方法で進めるのか検討がしやすくなります。また、DXは自分1人で実現するものではありませんから、言葉の意味を正しく理解した上で、会話・議論を進めることが重要になります。

狭い視野や古い考えのまま活動するのではなく、日本あるいは世界が今どの様な方向を向いてIT技術と付き合っているのか、組織変革を進めようとしているのかを把握した上でDX活動を進めましょう。その為にも「まずはこの辺を把握しましょう」という言葉、知識をピックアップしてご紹介します。

「DXとは何か?」言葉の定義

そもそも「DX」とは何ですか?という、言葉の意味、定義を知る事、そしてそれを人に説明出来ることが重要です。

実はDXに明確な定義はありません。DXという単語の起源は、ウメオ大学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が2004年の論文「INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE」の中で提唱した“ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる“という概念だと言われています。

これだとまだ概念なので、もう少し具体的に、ビジネスシーンで引用しやすい考え方に整った表現が知りたいですね。
2024年現在、日本国内で最も多く引用されているDXの定義は、経済産業省発の以下の文言です。

DXの定義

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

この定義を知っておけば、社内では上司から部下まで、社外では顧客や外注先の担当者まで、間違いのない表現で「DXとは何か」を説明することができます。

この章の冒頭に述べた通り、DXに明確な定義はありません。なので、それぞれの思うDX像を描いたり、好みの定義を参考にして良いのですが、経産省発のDX定義が最も多く参照されているという事実は把握しておきましょう。この前提が有ると無いとでは、話の通じ方が全く違います。個人的には、経産省発のDX定義の存在を知らない人や企業に対しては「本当にDXやる気ある?」と思えてしまうレベルです。

ということで、まずは経産省発のDXの定義の存在を知り、内容をチェックしておきましょう。ちなみに、DXを他の表現で説明している例はコチラのリンクにまとめてあります。良かったら参考にしてみてください。

2025年の崖

DXについて勉強している人だなぁ。情報収集をしている人だなぁ。
と、他人から思ってもらえるフレーズがこの「2025年の崖」です。

2025年の崖とは、経産省のDXレポートで指摘された内容です。

「2025年の崖」とは、システムの過剰なカスタマイズなどにより、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合に想定される国際競争への遅れや我が国の経済の停滞などを指す言葉です。2025年までに予想されるIT人材の引退や、システムのサポート終了などによるリスクの高まりなどが、この停滞を引き起こすとされており、最大12兆円/年の経済損失が発生するとされています。

Society5.0

内閣府の第5期科学技術基本計画ではSociety5.0この様に定義されています。

「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」

難しく書かれていますが、要するに歴史の教科書で習った「産業革命」的なことが現代でも起こりつつある、ということ。そしてこの革命は、ITがフル活用されることで、現実世界での暮らしや、働き方も大きく変化するよ、ということです。
このSociety5.0は、国として「将来こうありたい」と願う将来像です。ここに至る為の技術や方法論は、日本を支える企業や組織にとっても参考になります。大きな方向性として、Society5.0が実現した後の世界でも価値を提供し続ける為に、DXを実施するのだというモチベーションで改革に臨みましょう。

私のブログ内ではこの記事で特集しました。
▷リンク:日本が目指す次の社会【Society5.0】デジタル・アナログ融合が人間の暮らしを豊かにする

デジタル・ニッポン

こちらも日本のありたい姿に関する発文です。

人口減少が続いている日本でも、デジタル・テクノロジーを活用することで成長しつづけましょう!といった趣旨の内容がまとめられています。
防災、AI、web3、デジタル人材育成、セキュリティといった具体的な内容に踏み込んだ考察や解説も実施されております。
こちらの資料も大きな方向性の話ですね。DXに求められる「変革」について「国レベルでは皆がどちらの方向を向いているのか」を感じとれれば良いと思います。

▷リンク:「デジタル・ニッポン2023」とある【DX】担当社員が資料つまみ食い

VUCAの時代

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。
VUCAの時代とは、これらの要素が複雑に絡み合い、予測が困難で、変化のスピードが速い時代のことを指します。

先行きが不透明で、将来の予測が困難なVUCAの時代においては、企業は、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが求められることから、DXに関する文脈の中でVUCAという単語をよく耳にします。
話の中でVUCAと聞いた際に、変化が激しい時代のことねー、と理解出来ると「DXについて真剣に考えている人」感を演出できます。

デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション

デジタル技術を活用した改革であるDXですが、何もない状態から一足飛びでDX(デジタルトランスフォーメーション)出来る訳ではありません。DXに至るには、3段階必要だと言われています。

ステップ1が「デジタイゼーション」です。アナログで処理されている特定の業務や情報などを、デジタルデータ化することを指します。紙の台帳をエクセルにしよう!とか、書類の保管を紙ではなくPDFにしよう!といった内容を指します。

ステップ2が「デジタライゼーション」です。業務やプロセスの単位でデジタル化を進めることです。デジタル化するだけではなく、それらをデータとしてコンピュータ上で活用出来たり、異なる仕事間でデータを共有したり出来る状態を作り出します。例えば顧客からの注文があった場合に、人の手を介さずに注文内容が倉庫に通達、配送手続きが完了する様な、複数のタスクや職場をデータが横断している様な状態を指します。

ステップ3が「デジタルトランスフォーメーション」です。ステップ2が実現されていることを前提に、データやデジタル技術で変化に対応出来る体質を整えている状態を目指します。どこからがデジタルトランスフォーメーション(DX)で、どこまでがデジタライゼーションなのか、という境界は曖昧ですが、判断基準の1つとして「CX、EXにつながるのか?」というものがあります。
CXは顧客体験、EXは従業員体験のことです。デジタル化によって少し便利になった程度ではそれはまだDXとは呼べません。デジタル化によって効率化が進み、顧客への納期が短くなったり、安価な製品を安定共有できたり、従業員の残業がなくなったりすれば、CXやEXが向上します。この様にCXやEXが向上する状態まで達する取り組みが、デジタルトランスフォーメーション(DX)であると考えましょう。

IPA

IPAという組織の存在を知っておきましょう。これを知らずにDXの話をしたら、モグリだと言われてもしょうがないレベルです。

IPA 【Information-technology Promotion Agency】 情報処理推進機構は情報処理の促進に関する法律に基づき、IT社会推進のための技術や人材についての振興を行う、経済産業省所管の独立行政法人です。
ITや情報セキュリティなどに関する様々な情報発信を行っています。

わかりやすい【DX】の動画

「DXとは何か?」について、短時間で分かりやすく解説してくれているのがこちらの動画をぜひチェックしてみてください。

▷リンク:デジタルトランスフォーメーション(DX)ってなんだ (youtube.com)

発行元がIPAなので権威性があり、DXをヒトに説明する際にも参照しやすいです。それでいてマジメ過ぎず見やすい構成になっています。オススメです。

DX SQUARE

DX SQUAREというサイトもチェックしておきましょう。

▷リンク:DX SQUARE – DXを学んで、知って、実践するポータルサイト

IPAが運営している、DX関連情報発信サイトです。経産省やIPAの発文は小難しくてカタイ印象のものが多いですが、DX SQUAREでは、それらを噛み砕いてマイルドに紹介してくれます。また、基礎的な用語の解説や企業インタビューの企画などの記事も豊富で、取っつきやすい情報サイトです。

DX白書

国内外のDXに関する取り組みなど、DX推進に役立つ情報をまとめた資料がDX白書として公開されています。

▷リンク:DX白書 | 書籍・刊行物 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

定価xxx円、購入方法…など表示されますが、PDF版であれば無料でダウンロードできます。ページ数も文字数も多くて、正直全部読むのはしんどいかもしれません。
DX対応が進んでいる外国と、日本を比較して、これだから日本の経済成長は負けるんだ、とか、もっとこうしたら良くなるのでは、といった様な内容が沢山書かれています。
DX担当としては、本資料の存在を把握し、中身もザックリ知っておくと良いかと思います。

DX実践手引書

IPAからはDX実戦手引書なる資料も発行されています。

▷リンク:DX実践手引書 ITシステム構築編 | 社会・産業のデジタル変革 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

DX白書に比べると少し目線を下げて書いてくれている印象で、読みやすいです。
「経営者自身が強い危機感を持ち、その覚悟を示せ」「 各事業部の課題を熟知している精鋭メンバーを集め、対話を繰り返すことで DX の戦略を立案せよ 」といった様に、簡潔な表現で具体的な指示が書かれている点が分かりやすくて好印象です。

表紙にはヤマタノオロチ、資料中に陰陽図、足が三本あるヤタガラスなどが出てきて、若干クセの強さを感じるところはあります。ユニークではありますね。

デジタルスキル標準

デジタルスキル標準(DSS)として、DXを推進する為に必要な知識を体系的にまとめてくれた資料があります。DXを推進する為に必要なスキルとは何なのか?その方向性を示す資料となっております。改革の中心はヒトです。DXに携わるヒトに重要な素養やスキルを把握しておきましょう。

▷リンク:デジタルスキル標準とは?DX推進に役立つスキルや指針を知ろう

DXリテラシー標準

リテラシー標準は全てのビジネスパーソンに向けた基礎的な内容という位置づけです。企業のDXは、IT担当だけで実施するものではなく、全従業員の理解や協力が必要になります。全員でDXに関する会話をするのに必要な、基礎的知識であったり用語を理解することが、DXを進めるのに重要な要素となります。
ということで、まずはこのDXリテラシーを、社内に広く浸透させることが重要です。

DX推進スキル標準

より高度なスキルセットとして、DXスキル標準が紹介されています。こちらは、専門的な知識を有し、チームの中心になって改革を推し進めていく人材に求められる知識です。

大きくは以下の5つに分類されています。

こういった人材を確保・育成しながらでないとDXは進みません。あるいは人材がいないまま無理にDXを進めたとしても、組織を維持できなくなってしまうかもしれません。
IT人材の不足が深刻だと言われ続けている日本企業においては、耳の痛い問題ではありますが、目を背けずに必要なスキルをもった人材や組織の育成に努めましょう。

DX認定

DX認定はDX Readyの状態、つまり、これからデジタル技術を使って企業の改革を進めていく準備が整っていることを、経済産業省が認めてくれる認定制度です。
Readyの状態とはいうものの、かなり具体性を求められるので、申請~認定取得までの作業はそこそこ大変かもしれません。

▷リンク:DX認定取得を目指す人に向けてメリットや難易度を考える

DX認定を取得する

認定を取る為には、企業としてのミッションを掲げ、事業の本質的な部分にデジタル活用やDXの指針を関連づけ、それを対外的に発表する事が求められます。「社外公開」が課せられるので、取締役会の様な、企業としての意思決定機関での判断・承認が求められます。これにより、DX推進で一番重要な経営トップのコミットが必要になります。

他にも、自社のDX推進がどの程度進んでいるのかを確かめることができる自己診断も必要になります。これ自体の点数が低い(DXが進んでいない)ことが認定取得にマイナスになる事はなく、現状を正しく認識した上で、これからどうしようと考えています!といった姿勢や計画が評価の対象になります。

DX認定の取得は経済産業省から「お墨付き」を貰えるようなものです!目に見えて分かりやすい成果として、社内からも、社外からも評価を得られやすいです。DX推進担当としては始めやすく、目標とする成果も明確なので着手しやすいテーマです。

DX認定取得の為にはいろいろな提出物が必要なのですが、それぞれの資料を準備する過程の一つ一つがDXを前に進めるのに役立つ取り組みになっています。見方によっては、手取り足取りDXの始め方を教わっている様なものなので、DXと言っても何から始めたらいいかわからないという場合でも、とりあえずDX認定から始めてみる、というのはおすすめです。

DX認定を取得した他社の研究

DX認定の申請書は外部公開されます。つまり、他社のDXの進め方を確認することができるのです。
DX認定のHPでは、認定済企業の一覧から、業種等でソートをかけることも可能なので、同じ業界の他社はどういう試作を実施していて、それをどの様に認定機関に申請しているのかを研究できます。
自分たちでDX認定を取らないとしても、他社がどの様な取り組みを行なっているのかはとても参考になると思いますので、まずはこれらを参考にするのも良いかもしれません。
IPAが各社の申請内容を公開するのは、おそらくDXを特定の企業だけではなく、
「日本中全ての企業に実施してもらいたい!」
「そのために、実施済みの企業には事例を公開してDX推進活動をリードしてもらいたい!」
そんな思いがあるのではないかと推察します。

DX自己診断

DX認定の章で少し話題にあげましたが、DX自己診断の実施は良い取り組みです。

これからDXを進めようとしても、現状どの程度出来ていないのか、どこが出来ていないのか、あるいは逆にある程度進捗が良いものがあるのかなど、現状を把握することが重要です。現状を把握し、理想を描き、そのギャップを埋める作業がDXになるからです。

IPAの自己診断資料では、DX推進に向けて、どんなことをどの程度実施するべきなのかが網羅的に示されています。

現状を把握するだけであればコストもかからないので、何も進捗が無い状態、DX活動初日にこの自己診断から始めても良いくらいだと思います。

DXの優良企業を知る

DX銘柄

他社の事例を参考にするという意味では、DX銘柄をチェックするのも良いでしょう。データやITを駆使して変化を続けることで競争優位性を保っている企業のうち、日本を代表するようなスケールの大きい企業がDX銘柄として表彰されています。

何年も前からIT投資に力を入れていて、技術的な下地も、社員数や売上高も大きな大企業様が対象なので、簡単に真似できるようなものではない部分も多いですが、考え方や、改革成功に向けた姿勢は参考になります。

大企業でも時間をかけて、基本的なところから取り組み、経営層がしっかりコミットしながらDXを進めているというのがよくわかります。前向きなきもちでこれらの資料を読むと、昨今のDXブームに乗って1回や2回失敗したくらいでへこたれてちゃいけないなと思えるはずです。

DXセレクション

DX銘柄に比べると規模の小さな企業が選定対象になっているのがこちらのDXセレクション。

巨大企業よりも身軽な分、試作の種類が豊富で、結果を出すのが早い印象を受けます。
DXによって得られるビジネス的なアウトプットが、全体に締める割合に対して大きく見える点も特徴的です。例えば残業が80%削減された事例なども紹介されています。

セミナーや講演を聞く

ITベンダー各社の講演会やセミナーを聞きに行くこともオススメです。やはり専門家なので情報感度が高く、新しい話題を拾って面白い話をしてくれます。話題の根っ子にはDXやビジネス拡大を据え、AIの様な流行りものから各社のコアソリューションへと上手く話を繋げてくれるので、「〇〇社のサービスさえあればDXできるやん!」と前向きな気持ちになれます。

基本的には各社にとっての営業的なイベントであることは念頭に入れて参加しましょう。自社の望みを100%そのまま実現してくれるソリューションなど、一般販売されていることはありません!期待しすぎずに話を聞くようにしましょう。

複数の講演に参加することで、技術的なトレンドの把握や、キーワードの発見、自社と似たような悩みを解決したなどの事例調査に重きをおきましょう。

参加先は複数の企業、複数のソリューションにするようにしましょう。困り事を解決する為のアプローチはそれぞれ異なり、会社の数だけ、ソリューションの数だけ実現手法があります。1つのやり方に固執すると、その他の手段が目に入らなくなってしまいます。そうならない為にも情報収集のアンテナは広く張りましょう。直近の困り事を解決するだけではなく、長く使えて、自社とベンダーが共に成長出来る様なソリューションが望ましいです。

マイクロソフト

昨今のマイクロソフトのセミナーではAI関連が特に盛り上がっている様に感じます。OpenAIの買収からCopilotの展開をはじめとする生成AIそのものの充実はもちろん、それをワードやエクセルのような既に覇権をとっている業務ツールと連携させていく方針は多くの人から関心を集めています。

SAP

「ERPといえばSAP」の風潮が出来つつあり、多くの企業で新規採用やクラウド版への更改を決めている事実を、ビジネスニュースで多く目にします。製品の良し悪しもさることながら、SAP拡大の要因の1つにプレゼン能力の高さがあると思います。広い視野で語りつつ、ロジカルにスコープを定めて、細部まで納得感のある説明にはいつも感心させられます。その上で、SAPのソリューションはカバー範囲が広く、企業活動で直面する多くの要望をワンストップで解決する為の手段として高い評価を受けています。
そんなSAPのセミナーも、Fit to Standardの大切さや、データの一元管理とAIの相性の良さ、データスペースとの親和性など、これからの企業活動のあるべき姿が語られる、良い機会になっています。
個人的にはFit to Standardが行き過ぎて「Fit to SAP」になっているのではないかと、時々ひねくれたモノの見方をしてしまいますが、それでもなお、世界やビジネスのIT的なストリームを感じる為には、外せない登場人物だと思います。

AWS

ネットショッピングでおなじみのAmazonですが、クラウドインフラ周りでも貫禄を発揮しています。AWSとユーザー間のタッチポイントの特長はフレンドリーさや、共創意識の高さでしょうか。AWSのクラウドインフラユーザーはもちろんですが、その上のアプリケーションユーザーも含めてユーザー間の交流を推奨したり、AWS関連の技術の公開と認知に努めたりという姿勢が印象的です。

展示会に参加する

幕張メッセや、東京国際フォーラムなどで実施される「DX展」や「IT week」の様な展示会に参加することも、情報収集やトレンド把握に役立ちます。
直接話を聞くことが出来るので、インターネットでのキーワード検索や、HPの情報よりも濃い情報を得られます。
流行りの技術であれば、複数の会社が似たような展示をしています。技術的なトレンドを把握するのにも向いています。
ただし、出展企業の話を聞くと、興味の無い企業からも営業メールや電話が山ほど来ます。この点は覚悟しておきましょう。

DXに関する情報発信・情報整理

企業のDXでは多くの従業員を巻き込み「全員が自分事」として改革を進める必要がある、とDXの資料を読むとよくこんなことが書いてあります。他人の考え方まで変えようなんて無理!現実的じゃない!と思いたくなるかもしれません。
しかしながら、これまでDXを進めてきた私の実体験からしても、従業員の意識改革や協力を得る作業はとても重要です。

考え方を変えるといっても、それは他人を押さえつける様なものではありません。例えば今までのやり方以外にも選択肢がある事を示し、その方向に舵を切る事に一定の理解を得る、そんなイメージです。多くの従業員の理解を得て、DXを「自分事」にしてもらえる様に、しっかりと情報発信を行いましょう。

広報活動

発信側・受信側の双方にとって、教育ほど義務感がなく、肩の力を抜いて楽しめるコンテンツとして「広報」があげられます。定期的に情報を発信することで、読み手に「DX推進するべきだな」と思ってもらう様にします。徐々にファンを増やす様な取り組みだと理解すると良いかもしれません。

用語集

DXの話をすると英語、カタカナ、アルファベット略語が沢山出てきます。単語の意味が分からず「それだけでウンザリする」とアレルギー反応を示す方も多く見られます。
こういった症状を緩和する1つの手段として用語集が挙げられます。「DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で…」「CXとは、顧客体験を示す…」という様に、単語レベルで分からないことを一か所にまとめておくと、従業員の負担は軽減されます。

wiki

用語集と同様の理由でwikiの運用もノウハウの蓄積と共有に有効です。wikiは管理者だけではなく利用者を含めて、複数人で更新されることを前提とした情報蓄積サイトです。
ルール作りや、モラルの向上が必要ですが、上手く回りはじめれば運営者の負担が少なくなり、利用者も自発的に活動に参加出来る、優良な情報媒体となります。

DX活動アピール(社外向け)

情報発信という意味では、社内だけではなく社外への発信も効果的です。社外に発信するということは、取締役会での承認など、経営層を巻き込む活動であることが必要です。また、内容も具体的で実現の目途が立っている必要があります。そういう意味では、ある程度DX活動が進んでからしか社外への情報発信はできません。ですが、会社の上から下まで沢山の人を巻き込んだ活動にするために「社外に発信する前提で活動を進める」ことが有効なのでオススメです。

IR(投資家情報)資料に、DXに取り組む旨を記載することもオススメです。今後の経営計画等を投資家に対して語る為の資料であり、重要度が高い資料です。そのような場で披露出来るほどにDXに対する構想を煮詰めて、会社の意思としてDX推進に取り組む体制を作る必要があり、大変な作業ですがその分、経営陣を巻き込んだ活動になることは間違いありません。
特にDX認定の取得を考えている場合にはプラスに作用します。DX認定では、IR資料の様なステークホルダー向けの資料として、DXに対する取り組みが明記されていることが審査の対象になります。IR資料の更新はスグに出来るものではないので、DX認定取得を考えている場合は余裕をもってこの辺りの社内整合を進めましょう。

会社分析

DXによる改革を進めるにあたり、まずは現状分析、そしてありたい姿を描きましょう、というのが定石です。よく言われるのがAsIs-ToBe分析です。
現在の状態(AsIs)をよく把握して、理想の姿(ToBe)を描き、両者の差分を埋める作業がDXである、という意識が重要になってきます。現状分析やありたい姿を描く為にはフレームワークが有効です。いくつかフレームワークを御紹介します。

  • SWOT
  • ビジネスモデルキャンバス
  • PEST分析
  • ファイブフォース
  • バランススコアカード

これら、ネットで検索すると活動方法が出てきます。参考にしながら、自社の現状分析や、市場の分析を行い自社の強み、弱みを把握しましょう。

これらのフレームワークは、一度の試行で良い結果を出そうとするのではなく、検討メンバーを入れ替えながら「何度も実施、その中で一回良い結果を得る」ことを意識して実施することが重要です。失敗を恐れながらの会議や、発散を避けながらの会議からは、良い提案が生まれにくいからです。一度で完璧な結果が出る訳がないので、何度も実施しましょう。

ボトムアップのDX施策

DXの活動には大きくわけて二種類のアプローチがあります。経営者が強力に進めるトップダウン型と、現場主導で案出し、改善を進めるボトムアップ型です。
ここではボトムアップ型のDXを推進するのに役立つ施策をご提案します。

勉強会

ビジネスサイドとITサイド、双方の従業員が集まって共通の話題を学ぶのが効果的です。

技術的なトレンドを学ぶ。ビジネスサイドが講師になって現状の商いの仕組みを説明する。ITサイドが講師となりデータ活用の事例を研究する。などなど、議題は沢山考えられます。知識の習得も役に立ちますが、これを通じてビジネスサイドとITサイド双方の人材間に交流が生まれる事も期待できます。

ありたい姿の語り場

現場の社員がもつ「将来こうありたい」という想いは、先進的、かつ、現実的で素晴らしいビジネスの種である場合があります。一方で自分一人の考えなので自信が持てなかったり、上手く言語化出来ていない場合があります。この解決の場として他の社員と話す場を作ることが有効です。人に伝わる様に話す技術は言語化に役立ちます。人の意見と自分の意見を組み合わせれば、より良い将来像が描けるかもしれません。

ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークの利用も有効です。1回1回の試行に対して重く考えすぎず、とにかく回数をこなす。グループワークでメンバーを入れ替えながら実施すれば「100回に1回、良い施策が挙がるだろう」くらいの考えで実施する。こういった気持ちでとにかく数を打ち、その中から1つ2つ良いものを選ぶ姿勢がオススメです。

DX活動方針・ビジョンの作成

DXで何を成し遂げたいのかを、活動方針やビジョンとして作成・公開しましょう。

ビジョンに対する向き合い方で、良いなと感じた一文を、とあるビジネス書よりシェアします。

ビジョンとは、単に何が可能であるかを示す絵ではない。ビジョンとは、内なる精神を呼び覚まし、こうしてはいられない、今以上の何かにならねばならぬという気持ちをかきたてる呼びかけだ

ロザベス・モス・カンター
デボラ・ブラッグとスーザン・ヤングによる記事「人を優れたリーダーにするものは何か」に登場するカンターの言葉

私が参照したビジネス書は下記リンクの「凄い製品開発」という書籍です。この中の1ページに、上記、ビジョンに対する文章が書かれていました。

DXにおいて、デジタル利用やツール導入は手段であり、目的ではありません。例えば「社会を豊かにしたい」からデータを活用にするという様に、「○○をしたい」といった本質的な改革の目的があるべきです。これを実現する為のアプローチや、何を実現すれば目的を達成できるのか、あるいは、目的を実現するとどの様な姿になるのかを、分かりやすい言葉でステークホルダーに伝えることが重要です。従業員を含むステークホルダーからの期待が高まり、前向きな姿勢でDX活動に参加出来る様になる、そんな言葉を掲げられる様に検討しましょう。

DXで何を成し遂げたいかという、本質的な目的の部分の解像度を高く持ち、多くの人から共感を得られる様に言語化する作業です。

ビジネスアーキテクト

DXによって何を成し遂げたいのか、現状の自社の体制のうちどの部分を変革させるのか、社会や顧客に対してDXがどんな価値を提供できるのか。これらを設計、検討する為にはDX推進スキルの中で紹介した「ビジネスアーキテクト」の守備範囲とされる領域の活動が効果的です。

自社のビジネスについて、強みと弱みを把握し、どの部分をグロースさせていくのか、それがどの様なメリットをステークホルダーにもたらすのか、といった内容を検討し、今後のビジネス展開の青写真を描く活動です。青写真を描くと言っても、未来を予知できる訳では無いので、完璧に正しい未来の施策を生み出すのではありません。アジャイルな姿勢で取り組むことが出来るように、いくつもの施策を検討します。複数の施策のうち、いずれかが理想の未来像として描いた青写真の実現につながる。そんなイメージを共有しながら活動できるプロジェクトを設計・運用しましょう。

目標設定だけではなく、組織を形作る人材の調整も重要です。活動に対して理解を得ること、作業リソースとして人員を確保すること、学ぶ場を設けて知識やスキルを身に付けさせることなど、ビジネスアーキテクトに求められる仕事は沢山あります。

上流設計

ビジネス要件が固まると、いよいよデジタル要件を固める作業に入っていきます。新たなシステム導入を実施する場合でも、既存システムを変更・更新する場合でも、その変化に対する設計、特に上流の設計については自社で行うべきです。これを導入パートナーやコンサルなど、他社に丸投げしてしまうと、思っていたものと違うシステムが出来上がったり、良いものが出来たとしてもその後の保守・運営が上手く行かなくなったりします。

要件定義

システム開発の上流工程としては、企画・要件定義・基本設計などがあります。

「企画」の工程では、経営のニーズや課題を実現・解決するための、ビジネスモデルを想定して、業務の全体像やシステムの構想を立案します。
「要件定義」の工程では、企画工程で立てた構想をもとに、システム利用者のニーズや要望、課題を分析。そして、利用者が必要とする機能やサービスに対する「要求」を抽出します。それから、システムに関係するステークホルダーと合意して、要求を「要件」としてまとめます。
DXという改革の結果として、ビジネスで何を成し遂げたいのか、という要件を定義する過程であり、かつ、それを実現する為のシステムを、どうやって構築するかを決める重要な工程です。

機能要件

要件定義のうち、システムに求める要件を整理する内容は、機能要件・非機能要件・ノックアウト要件の大きく3つに分類できます。
機能要件とは、ソフトウェアやシステムの開発、あるいは、選定において「あんな機能が欲しい」「現状のこの困りごとを解決したい」といった、ユーザー・クライアントが求める「機能」的な要件のことを指します。

▷リンク:【機能要件】とは?実現したいことを正しく定義して伝える

非機能要件

非機能要件とは、ソフトウェアやシステムの開発、あるいは、選定において、使いやすさや安全な環境構築など、機能面以外の要件のことを指します。

▷リンク:【非機能要件】の丸投げ禁止!考慮するべき事項。

ノックアウト要件

ノックアウト要件とは、「これだけは外せない」「これが無いなら選ばない」といった要件を指します。

▷リンク:ノックアウト要件とは?ベテランほど当たり前に考えているけど、新人に伝えるのは難しい勘所

社内体制の構築

多くの人員から構成される企業や組織でDXを推進するためには、従業員に期待する役割や、それを実現することが出来るチーム作りが重要です。

DX担当役員

会社の経営層、役員のクラスにDXを牽引するリーダーがいることが望ましいです。もちろん社長が率先して引っ張っていく形でも良いです。CIO、CDOといったIT、データサイドの統括者は適性が高いです。

DX委員会

DXで成し遂げたいことを議論し、承認する会議体。プロジェクト憲章の作成と承認をし、経営判断一歩手前の舵取りを行う会議体です。
DX活動が、既存のあらゆる業務と協調出来るようコンセンサスをとる場として機能させましょう。

DX関連分科会

DXを実現するために必要な、個別の施策について検討や設計を受け持つ会議体です。
ここでいう個別の施策とは、要素技術や個別機能、あるいはその集合のことで、一定の範囲で区切ることで組織の思考が進めやすくなる単位のことです。例えば「営業データ活用分科会」や「経営ダッシュボード検討分科会」などを作るのもいいかもしれません。

DX事務局

DX推進のプロジェクトリーダーをサポートし、分科会など個々のプロジェクトを横断的に支援する人員を指します。関係する各部署と連携・調整を行うなど、DX推進プロジェクトマネージャーが意思決定しやすくなるように支援します。

教育・人材育成

多くの従業員に「自分ごと」としてDXに参加してもらう為には、会社のありたい姿について語り、そこに至る為に必要な技術を語り、DXの必要性を理解してもらう必要があります。自社の改革にDXが有効だと思える為には、DXとは何なのかを、ある程度理解できなくてはなりません。まずは、同じ基準で会話ができるように、最低限の知識が身につくような教育の実施を検討しましょう。

DXリテラシーレベルの教育

まずは全てのビジネスパーソンが学ぶべきとされているリテラシーレベルの内容を学習しましょう。
DXとは何か?今の時代なぜDXが必要なのか?改革にデジタルが有効な手段であるのはなぜか?などの内容が含まれます。

初めは自身が学び、そこから少しづつ広げていきましょう。DX関連分科会メンバーなど、ある程度活動目的がハッキリした人員から順に教育対象とするのが効果的です。見落としがちなのは経営層に対する教育です。教育は、上の人が下の人に対して実施する様なイメージがありますが、DXについては新しい概念なので、経営者であっても知らなかったり、認識がずれていることは大いにあります。経営層の人員が同じ方向を向いて走ってくれることは、DXにとってこれ以上ないアドバンテージです。改革に向けて、年齢や職位に関係なく、共に学ぶ文化を醸成しましょう。

教育コンテンツはイーラーニングなど教材が沢山出回っています。変化の激しい時代なので、内容の見直しや、定期的なアップデートがしっかりされている物を選ぶのがおすすめです。
教材を内製するのも良いでしょう。自社にあったエッセンスを加えることで、より意味のある、読み手にも興味を持ってもらえる内容に仕上げることができます。また、教材を作る過程も、自社のDXを設計するような作業時間になる為、なかなか有意義です。

資格取得

資格取得も有効な勉強方法です。特に学習初期は、学べど学べど活用場所がない、といったことになりがちです。そうなると何のために学習しているのかわからなくなり、モチベーションも低下します。資格取得を当面の目的とすることで、やるべきことが明確になる為モチベーションを保つことができます。

座学だけだと、知識だけは貯まるけど実務に活かせない、というケースがあるかと思います。確かにその様な側面もあるのですが、業務に活かせる・活かせないというのは、座学で得た知識の量や質によっても異なります。「勉強ばかりでなく実務をやりたい」と言う従業員がいたとします。1〜2時間勉強したと主張するAさんと、一般に60時間程度学習が必要とされる資格を取ったBさん。あなたならどちらに仕事を任せますか?どちらと一緒に仕事をしたいですか?
多くの場合、選ばれるのはBさんです。この様に、資格を持つことは他者から信頼を得ることにもつながります。
網羅的な知識や、体系の理解が求められる資格であれば、その学習が実務プラスに働くのは間違いありません。
一から新しい事を始めるならば、有識者から指導を受ける際の会話に必要な知識を得られますし、慣れ親しんだ業務であれば、改善・改革につながる新しい物の見方が出来るようになるかもしれません。

DX推進に相性が良いとされているIT系の資格をいくつかピックアップします。

  • 基本情報技術者
  • 応用情報情報技術者
  • ITパスポート
  • G検定
  • データサイエンティスト

IT導入検討

DXに繋がりやすいと言われている、あるいは、DXらしさがあり周りから評価されやすいシステムをいくつかピックアップしてご紹介します。ビジネスモデルが変わるほどの「改革」をおこす為にはシステム導入だけでは足りません。デジタル化やデータ活用は目的ではなく手段です。
一方で、デジタルトランスフォーメーションに至るためには、デジタイゼーション、デジタライゼーションと徐々にデジタル技術の使用比率を高めていくことも重要であるとされています。特にデジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションの境界は曖昧です。将来の改革に繋がる(少なくともイメージの湧く)システムの検討から始めるというのは、着手しやすいアプローチです。
くどい様ですが、システムを先に決めて、そこからやる事を決めるアプローチは基本的には良くない打ち手です!それを理解した上で、改革未来に向かう為の道具として、世の中にどんなシステムがあるのかを把握する様な感覚でITシステムの導入を検討しましょう。

チャットツール

SlackやTeamsの様なチャットアプリは、ユーザーの満足度が高く、業務効率の改善やコミュニケーションの促進につながる為、多くの企業で導入が進んでいます。導入してすぐ初めの頃は「メールとチャットを使い分ける意味がない」とか「新しいものを覚えるのが面倒」といった声が上るかもしれませんが、スマホの連絡手段がメールからラインに変化した様に、徐々にチャットの手軽さや便利さが浸透して支持される様になるケースが多いです。

スケジューラ

スケジュールを個人が紙の手帳で管理するのではなく、電子化して、全社員で共有出来るようにしましょう。電子化して共有するメリットについては、例えば多くの社員が参加する会議を開催する場合、電子化以前は、スケジュール調整をする為に全員に候補日時を連絡し、返信を待ち、参加可能日程の調整をする、という様な手間がかかっていました。電子化し、スケジュールを調整すれば、「参加者全員の空き日時」をソフトウェアが判断してくれるようになります。スケジュールが公開されていれば、日程調整において声をかける側もかけられる側も手間が減るし、心理的にも楽になります。

クラウドサーバー利用

「クラウド化の推進、それすなわちDXである」くらいクラウドとDXという言葉の関連性が強く、非ITサイドの人員や経営層からウケが良いのがクラウド化です。
実際は、サーバーをクラウドに移行したからといって、それだけでビジネス改革が起きるようなことはあまりありません。サーバーがクラウドにあることを前提に、事業のあり方やデータの取り回しを変えるなどの工夫が必要になります。

クラウドサーバーの導入で、劇的な効果が期待出来るのは保守性の向上です。自社で行う物理サーバーのおもりから解放されます。故障や障害による稼働停止も少なくなっております。会社の情報システム部門の人員には、より生産性のある仕事を進めてもらい、サーバーの維持管理は専門家に任せるというのが昨今のトレンドです。

必ずと言って良い程「クラウドが止まったらどうする」「クラウドはセキュリティが心配だ」といった声が上がります。もちろんケアが必要な内容ですが、もはや当たり前の様に対策がされており、クラウドサーバー提供者側からすれば、「あなたたち素人に任せるよりも、私達に運用させた方がよっぽど安全だし、稼働率も高いです」という感じでしょう。もちろん、そういった企業の営業マン達はそんな言い方はしませんが、持ってくる資料を要約するとそういう内容が書かれています。
クラウドサーバー側よりも、自社からクラウドに辿り着く為のネットワークに関するトラブルの方が多い印象を受けます。クラウド利用の際にはネットワークについてもよく検討しましょう。

SaaS利用

新しいシステム導入を検討する場合、SaaS対応されている事をプラスに評価する事をおすすめします。世のトレンドとしても、これからはSaaSという風潮です。
自分が欲しいと思う機能は、他の誰かも欲しいと思っている事が多く、新たに開発しなくても既に売ってたりします。これらのソリューションをうまく使うことで、時間もコストも削減可能です。その提供形態として、SaaSであることが重要視されているのです。

開発、修正、維持管理がし易いことからソリューションの開発元にも、ユーザーにもメリットが大きい為です。
SaaSの場合、多くのユーザーが共通して使える仕様になっています。ですので、細かな固有の要望には応えられないことが多いです。
SaaS利用の際は完璧を求めず、欲しいものに一番近いものを選ぶようにしましょう。そうすることで、維持管理の容易さや、継続的な発展に繋がるシステムを選ぶことができます。

SaaSのソリューションは開発元、システムの提供元の都合でアップデートされます。これはセキュリティ対策であったり、新たな機能の拡充であったり、バグ対策だったりします。これらのアップデートに対応する為には独自要件の追加、アドオン機能を無くすことが重要です。Fit to standardと表現されるのはベンダーの俺様感が強すぎてあまり好きではないのですが「ソフトをそのまま使う」事を重視して導入、運用する事は間違いなく重要だと思います。

基幹システム(ERP、CRM、PLM)

DXに至る前段、デジタルが業務に浸透するデジタライゼーションに有効であるとされているソリューションがあります。従来は個別のツブとして管理されていたデータを繋げて、データドリブンな事業活動に繋げる為のソリューションです。

ヒト・モノ・カネを管理するERP、顧客及び顧客との関係性を管理するCRMが代表的です。製造業であればPLMの採用も有効でしょう。
3システムの連携例イメージの例としてはこちらの記事を参考にしてください。

▷リンク:DXを成功させるための設計図!「業務・組織」「システム」「ビジネス」の3つの観点から解説

これらを、事業活動の基幹システムとして採用し、企業として取り扱う有用な情報をデータ化して取り扱うことで、情報や業務の共有・連携が可能になります。同じデータを同じ呼称に統一し、それを元に経営判断するというのが実はとても難しいのですが、データが統合・共有されればそれが可能になります。データダッシュボードなどを利用すればより便利に、より深くまでデータ解析が出来るかもしれません。

これらの基幹システムで集めることが出来るデータをどの様に管理するのか、あるいは、そこからどうやって価値を創出するのかというデータマネジメントの考え方も、実は体系化されています。コチラの記事で紹介していますので、良かったら参考にしてみてください。

▷リンク:【DMBOK】11の知識領域から「データマネジメント」を理解する

データの取り扱いを丁寧に行うことは、今後AIをより実戦的に活用する場面が来た際にも効果的です。AIにインプットするデータがマトモなもので無い限り、良いアウトプットが得られないからです。

AI導入

AIの導入検討は非常にタイムリーで注目度が高いです。情報技術(IT)やシステムの導入は手段であり、目的ではないというのが基本的な考え方なのですが、ことAIに関してだけはこの前提条件を破壊しうる、革新的な技術になるかもしれません。

今後のAI技術の動向によっては、目的はともかく、AIを使えるか・使えないかというだけで両者の間に大きな差が生まれてしまう可能性があります。
従来のITシステムが生み出すことが出来た成果と、AIが創造しうる内容のレベルや方向性が異なるので「まずはAIを使う」ことをしないと、AIで何が出来るのかを考えることも出来ないという事態におちいるかもしれません。
AIが技術的に歴史の転換点になるほどの発展を遂げるのかはわかりません。しかしながら、直近1、2年の発展スピードはそれを予感させるのに充分なものであり、多くの人がそれを期待し、信じている様な状況ではないでしょうか。

コンサル

経営的な観点や、技術的な観点、あるいはそれらを統合した観点から示唆を導く、コンサル業を生業とする会社、あるいは、個人の需要が高まっています。背景には、日本のIT人材不足や、企業文化が凝り固まり柔軟性がないこと等の原因が考えられます。

多くの経験やノウハウを持っているのはもちろん、技術的な情報や動向を把握することで、適切なアドバイスを生み出すのが彼らの強みです。企業の現状を把握する能力、それをどの様に変化させるのかを考える能力、顧客を巻き込む能力、伝える能力など、ビジネスマンとして「凄いな」と思える素養を沢山持った人達です。

「コンサルは口先だけで、成果も保証せずに大金をとっていく」と忌み嫌っている人が一定数いるかと思いますが、明確な目標や期待するアウトプットを設定した上で、マトモなコンサルに出会うことが出来れば得るものは大きいです。

DXの領域についても、コンサルの需要は多くあり、それに応えるコンサルベンダーが多数存在します。知見を得るための手段の一つとして検討してみましょう。

「ベンダーロックイン」という言葉を知る

ITシステムの導入や保守運営を自社だけでやり切ることは難しいです。多くの場合、外部から専門のSIパートナーやSEの力を借りますが、このとき、ベンダーロックインされた状態に陥らない様にしましょう。

ベンダーロックインとは、企業内で使用するソフトウェアやシステムの導入・更新をする際に、特定のベンダーの製品やサービスに強く依存してしまう状態をいいます。

ITシステムに対して、発注側と受注側の経験や知識の差が大きい場合にこの様なことになりがちです。特に、導入初期に仕様検討をベンダーに丸投げしたりすると、ソフトウェアやシステムの中身がブラックボックスになりがちです。
あるいは、製品そのものが、他で代用しにくい場合にもロックインが発生します。技術的に代替可能なソリューションを利用することは後のリスクを低減することにつながります。

ベンダーロックインの状態になると、運用条件、サービス内容、価格などの交渉が難しくなり、長期のシステム運用に支障が生じます。
言い方は悪いですが「技術が古臭くて、不便で、サービスも悪いのに、データと仕事を人質に取られた状態なので高い金を払い続けるしかない」という状況に陥ります。
こうならない為には、ITに関する知識を高め、上流設計は自社で受け持つなどの体制を整えることが重要です。合わせて、互いにwin-winな関係を長く続けることが出来るベンダーやシステムを選定することが重要です。

まとめ

世のDX担当に伝えたい「DX活動で何をすればよいか」を、思いつく限りタクサン書き出しました。

この中から1つでも、あなたの役に立つ検討事項が見つかれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
いねおけ
いねおけ
とある企業のDXパートナー
いねおけと申します。 好きなモノを推す仕事をしたいと悩んだ結果、企業の改善・改革を担当出来るDX推進関連の仕事に転職。 「こうありたい」を語るのが好きです。 「なんちゃってでイイからやっちゃって!」精神でDXスタートをお手伝いします。
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