DXを成功させるための設計図!「業務・組織」「システム」「ビジネス」の3つの観点から解説
とある企業のDXパートナー、いねおけです
日本の「DX推進担当」の皆様と共有したい。
今回のテーマは
「業務、組織」「システム」「ビジネス」に分けてDX実現に向けた全体構成図を作成しました。
以下の順番で紹介します。
周囲の変化が激しい時代を生き残る為に
デジタル技術を活用することで変化を受け入れ
「勝ち組」を目指す体質づくり進めます。
DXの定義から実現手法までキッチリ整理しました
DXとは?言葉の定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)の明確な定義はありません。
多くの人や企業が、色々な解釈を示しています。
中でも、国内で最も引用が多く権威性のあるDXの定義が「経済産業省」発の以下の内容ではないでしょうか。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
この記事で取り扱う【DX】の意味も上記資料との関連が強いものとなっております。
あるいは、私個人として好みの「DXの定義」として、もう一例挙げさせていただきます。
デジタル技術を活用して、顧客体験を向上させ、事業を成長に導くこと
「顧客体験の向上」を重視している点が素晴らしく、かつ、シンプルにまとまっているので好きです。
DXの定義には様々あるものの、経済産業省発の文書を参照、引用するのがオススメです。
国内でサービス展開されるDX系のサービス、例えば教育コンテンツやデジタルサービス等の多くが、上記を引用した内容となっております。
「DXとは何か」をもう少し詳しく知りたい、DXに関する他の解釈も気になるという方にはこちらの記事がオススメです。
▷リンク:DXとは?【3分の動画】で簡単に解説!「DX SQUARE」がキホンを説明
企業【DX】の設計図
業務、組織
“デジタル”トランスフォーメーションという名称から、デジタル技術の導入を先行して考えてしまいがちですが、DXの本体はあくまでヒトであり、ヒトが生み出す業務です。
また、DX系のセミナーを受講してよく聞くのが「システム導入において大変なことは、システムの選定では無く、導入作業自体でもなく、導入先の部門の人達に理解を得る事だ」という類の話です。
どんなに良いシステムを導入しても、使いこなせない、あるいは、使ってもらえないのでは意味がありませんよね。
【組織】合意形成
DXが成功した組織の過去事例としては、社長やCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)が独力決断し、DXに向かう決定や実務的な舵取りまで実施するパターンがあります。
トップに判断力と現場コントロール力の双方が伴っているレアケースであり、これが出来れば苦労しない、恵まれたケースですね。
そうではない場合は、企業全体に「DX実現に向けた決定事項」を受け入れてもらえる組織作りが大切になってきます。
DX推進のトップには、ITの素養だけではなく、会社全体の経営方針やビジネスモデル、その実現手法までを幅広く把握している人物の採用が必要です。
トップダウン型の意思決定と、ボトムアップ型の改革推進の双方を調整して改革を前に進めるバランス感覚が求められます。
DX推進の実務を担当する人員に対しても、事業を横断した取り組みに従事できる素養、あるいは環境が求められます。
「縦割りの事業部に横串を刺すこと」「全社最適の観点で例外を認めず全員が対応すること」「総論賛成・各論反対とならないこと」こういった決断と実務を推し進める必要がある為、組織間やヒト間の調整が重要な業務となります。
DXの「泥臭い一面」を乗り越える為の組織作りが大切になります。
DX推進を主業務とする事業部や専門部隊を設立し、一定の人数と工数を確保することが望ましいでしょう。
また、「業務を変革」する為には既存のビジネスを担う事業部から協力を得ることが必要です
各事業部にDX推進窓口担当者などを任命して、意志整合や意見交換が可能となる体制を作る事が望ましいでしょう。
DXの合意形成を進めるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- DXの目的や目標を明確にする
- DXの目的や目標を明確にすることで、経営層と現場の認識のズレを防ぐことができます
- DXのメリットを具体的に示す
- DXのメリットを具体的に示すことで、現場の理解を深めることができます
- DXの実現に向けたロードマップを策定する
- DXの実現に向けたロードマップを策定することで、経営層と現場の連携を図ることができます
【知識】共通理解
DXを実現するためには経営層や現場の社員がDXに関する知識を共有する必要があります。
DXに関する知識を共有することで、DXのメリットを理解し、DXを推進するための行動を起こすことができます。
DXに関する知識を共有するためには以下の方法が考えられます。
- 社内研修やセミナーを実施する
- 社内研修やセミナーを実施することで、DXに関する知識を効率的に共有することができます
- DXに関する書籍やWebサイトを活用する
- DXに関する書籍やWebサイトを活用することで、自分のペースでDXに関する知識を習得することができます
- DXに関する社内コミュニティを立ち上げる
- DXに関する社内コミュニティを立ち上げることで、社員同士でDXに関する情報交換や意見交換を行うことができます
上記のようなDXの知識を共有する活動に加えて「DX推進担当が既存の業務に対する知識を身につける」ことも重要です。
会社の経営方針に関心を持ってコミットすることや、現場業務について知る姿勢が重要であるといえます。
【姿勢】企業風土
DXを実現するためには、企業風土の改革も必要です。
変化を受け入れ、新しいことにチャレンジする姿勢が求められます。
企業風土の改革を進めるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 失敗を許容する文化を醸成する
- DXは新しいことにチャレンジするからこそ、失敗の可能性もあります
失敗を許容する文化を醸成することで、社員が新しいことにチャレンジしやすくなります
- DXは新しいことにチャレンジするからこそ、失敗の可能性もあります
- 成果を評価する仕組みを整える
- DXの成果を評価する仕組みを整えることで、社員がDXに取り組むモチベーションを高めることができます
システム
DXの「D:デジタル」に関する話です。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する為の前ステップとして
- デジタイゼーション = 物理的な(アナログな)データをデジタル化すること
- デジタライゼーション = 業務プロセスをデジタル化すること
これらのステップを踏んだ後に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が実現できるとされています。
ここで紹介する「システム」はデジタライゼーションを強く意識した内容です。
ではデジタライゼーションとはどういった状態か?
私の理解をもう少し口語的に表現すると
「○○業務を行う為には○○システムを使うのが当たり前であり、ストレスもなく効率的である」状態だと考えます。
生活に必要な公共インフラを整備する様なイメージに近いかもしれません。
・通勤の為に電車に乗る
・車で出かける為に道路を走る
・家庭で料理をする為に水道を使う
⇒あって当たり前のインフラ整備
その上で、ただのデジタル化で終わらないシステムを選定する必要があります。
ただのデジタル化で終わらないとは
- データを蓄積、活用できること
- システムをデータ連携できること
こういった条件を満たすシステムであることが重要です。
先ほどの例を参考にするならば、電車の駅と道路がつながっていない状態は不便ですよね?
「家を出て駅の中間地点までは車で移動できるけど、その後駅までの道のりはジャングルを歩いて30分かかります…」これではデジタライゼーション、あるいはその先のDXにつなげることができません。
様々な業務を「システムで連携」して「データを相互に活用する」システムを構築することがデジタライゼーションの重要なポイントであり、DXにつながる道のりです
どの様なシステムの導入が効果的であるか、一例を以下に示します。
営業
営業領域のシステムとして、CRMがあげられます。
CRMとはCustomer Relationship Managementの略です。
日本語では「顧客関係管理」と訳されます。
顧客との良好な関係を構築・維持するために、顧客の属性情報や行動履歴、顧客との関係性を一元的に管理・分析するマーケティング手法です。
CRMを導入・活用することで、顧客満足度の向上、顧客ロイヤルティの醸成、売上拡大、収益性の向上、営業活動の効率化、マーケティング活動の高度化などのメリットが得られるとされています。
詳しくはコチラの記事を参照ください
▷リンク:CRMとは?顧客関係管理のメリットをわかりやすく解説します
管理
ヒト・モノ・カネを管理する基幹システムとして、ERPがあげられます。
ERPとはEnterprise Resource Planningの略で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。
企業の基幹業務である、販売、会計、人事、生産、物流などの情報を統合的に管理・運用するシステムのことです。
ERPは企業の経営資源を有効活用し、経営の効率化・高度化を図ることを目的としています。
詳しくはコチラの記事を参照ください
▷リンク:ERPとは?メリットや活用方法をわかりやすく解説します
製品開発
製品開発のはじまり〜終わりまでを管理するシステムとしてPLMがあげられます。
PLMとは、Product Lifecycle Managementの略で、日本語では「製品ライフサイクル管理」と訳されます。
製品の企画・開発・製造・販売・保守・廃棄までの全プロセスを管理する手法です。
PLMを導入する際には、企業の経営効率化・高度化が達成できる様に、既存の業務プロセス改革や運用体制の構築が重要となります。
詳しくはコチラの記事を参照ください
▷リンク:PLMとは?メリットや活用方法をわかりやすく解説します
人事
人材管理システムとしてタレントマネジメントシステムがあげられます。
タレントマネジメントシステムとは、従業員のスキルや能力、経験、志向性などの情報を一元的に管理・活用するためのシステムです。
人材の採用・育成・配置・評価・退職など、人材に関するあらゆるプロセスを支援し、企業の戦略的な人材マネジメントを実現します。
従業員の情報を一元的に管理・活用することで、人材の育成・配置の効率化・高度化、人材のモチベーションの向上、企業の競争力の強化などを図るためのシステムです。
詳しくはコチラの記事を参照ください
▷リンク:タレントマネジメントシステムとは?メリットや活用方法をわかりやすく解説します
データ連携と活用
蓄積されたデータを活用することで、既存業務の効率化や、新たな価値の創出につなげることができます。
例えばAIを利用すれば、検査の自動化や、新技術の開発に貢献します。
▷リンク:AIとは何か?意味やメリット、活用事例、技術解説をカンタンに解説
あるいは、経営ダッシュボードで企業の経営状況を可視化することも良いでしょう。
経営に関するさまざまなデータを、一覧性・視認性の高い画面に表示することで、経営者の意思決定を支援します。
▷リンク:経営ダッシュボードとは?メリットや活用方法をわかりやすく解説します
ビジネス
変化が早い時代の変化に対応するためには、価値を高め時代に必要とされる企業であり続けることが重要となります。
ビジネス環境や形態の変革(トランスフォーメーション)を実現する、あるいは、受け入れる必要が大きいのはこういった時代背景が起因します。
先行きが不透明で、将来の予測が困難なVUCAの時代における変化の必要についてはコチラの記事も参考にしてみてください。
▷リンク:ダイナミック・ケイパビリティとは?VUCA時代の企業に求められる能力
ニーズ
変革(トランスフォーメーション)で目指すべき方針の一つとして
顧客ニーズを的確に把握することが重要です。
顧客ニーズを把握することで、顧客の満足度を向上させ、新たな価値を創造することができます。
顧客ニーズを把握することで、企業は、以下の取り組みを進めることができます。
- 顧客の利便性を向上させる
- 顧客の満足度を向上させる
- 顧客の課題を解決する
デジタル技術の活用は以下の様な顧客ニーズを把握する取り組みにも貢献できます。
- 顧客インタビュー
- アンケート調査
- ソーシャルメディア分析
- ビッグデータ分析
価値
市場価値を高め、競争力を強化するDXを実現しましょう。
デジタル技術の活用やビジネスの変革は、市場価値を高める以下の様な取り組みを活性化することにつながります。
- 業務効率化を図る
- 新たなビジネスモデルを創出する
- 新製品・サービスの開発を行う
業務効率化を図ることでコストを削減し、生産性を向上させることができます。
新たなビジネスモデルを創出することで、新たな市場を開拓し、収益を拡大することができます。
新製品・サービスの開発を行うことで、顧客のニーズを満たす新たな価値を提供することができます。
デジタル技術の活用を前提とした業務の改革によって企業価値を向上した優良事例をコチラの記事で紹介しています。
▷リンク:トプコンの尖った【DX】が世界を丸くする
責任
DXは企業が社会的責任を果たすことにも有効です。
企業は社会的責任を果たすことで、企業の社会的評価を高め、持続的な成長を実現することができます。
企業の社会的責任を果たすためには、以下の取り組みを進めることが重要です。
- 環境に配慮した取り組みを進める
- 社会貢献活動を行う
- 従業員の働きやすい環境を整える
DXで実現するビジネス改革と、環境に配慮した取り組みは、どちらも中長期的な取り組みとなる為、関連づけて推進することが効果的です。
地球環境の保全・社会貢献活動・地域社会への貢献・従業員の働きやすい環境整備は、従業員のモチベーションを高め、ステークホルダーの関心や利益を向上します。
DXの設計図
まとめです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、
デジタルのチカラで業務や組織を変革する事でした(参考:DXとは?【3分の動画】で簡単に解説!「DX SQUARE」がキホンを説明)
なぜデジタルなのか?なぜ変革が必要なのか?
周囲の環境変化が激しい時代である為、自身も変化が必要であり、その為に有効なツールとしてデジタルがあげられるからでした(参考:ダイナミック・ケイパビリティとは?VUCA時代の企業に求められる能力)。
DX実現を3つの視点から実現する事を提案しました。
- 業務、組織を変革する
- システムでデータをつなげる
- 市場のニーズを把握して価値を提供するビジネス改革
上記を相互に連携させることでDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現します。
以上です♪
最後まで読んでいただき、ありがとうございました