【DMBOK】11の知識領域から「データマネジメント」を理解する
とある企業のDX応援団、いねおけです。
DMBOKという、データマネジメントを体系的にまとめた書籍の概要について御紹介します。
DXやAIといった「データ活用」を推進しようとしても、上手く進められない、あるいは、途中で行きずまるケースがよくあります。
データ活用の土台となる「データマネジメント」が出来ているか?を見直してみましょう。
DX、AIを「攻め」のデータ運用だとすると、データマネジメントは「守り」のデータ運用であると言えるかもしれません。華やかさに欠けるかもしれませんが、基礎の部分なので、この領域をいかに骨太でシッカリと作りあげるかによって、その後の活動の方向性や品質がかわってきます。
ビジネスに有用なあらゆるデータが、どこから生まれて、どこに保持されて、どのように活用されるのかを整理する「データマネジメント」の入門レベルの知識について、DMBOKを参照しながら体系的に御紹介します。
DMBOKとは
DMBOK(ディンボック)には、データマネジメントに必要な知識が、体系立ててまとめられています。
Data Management Body of Knowledgeの略で、日本語に訳すと「データ管理の知識体系」となります。
刊行元はアメリカのデータマネジメント組織の「Data Management Association International」です。
11の知識領域「DAMAホイール図」
DMBOKでは、広範囲なデータマネジメントの概念をいくつかの領域に分解し、理解しやすくしています。最新版であるDMBOK2では、11個の知識領域が定義されており、それぞれを学ぶことで、データマネジメントに関する知識や、あるべき姿を理解できるようになっています。
データアーキテクチャ
データがどの様にビジネスに活用されているのか、あるいは、活用出来るのかを俯瞰して見ることが出来る設計図の様な役割を果たします。
既存のデータがどこで生成されて、どの様に利用されているのかを理解することで、無駄なデータを整理して必要なデータを定義します。
ビジネス上のゴール設定をして、どんなデータが必要なのかを検討します。
現状把握と、将来目指す姿を描く知識領域が「データアーキテクチャ」です。
▷リンク:DMBOK【データアーキテクチャ】わかりやすいまとめ
データモデリングとデザイン
ER図等を用いることで、沢山あるデータテーブルどおしの関連性を定義します。
データとデータの関連性を設計する重要な知識領域が「データモデリングとデザイン」です。
▷リンク:DMBOK【データモデリングとデザイン】わかりやすいまとめ
データストレージとオペレーション
データストレージの保守運用に関する内容です。
セキュリティ要件と、ビジネス要件の双方を成立する、データの取り扱いに関する知識領域が「データストレージとオペレーション」です。
▷リンク:DMBOK【データストレージとオペレーション】わかりやすいまとめ
データ統合と相互運用性
利用しやすいデータを作成し、適切な場所に移動する事を指します。
ETL、つまり(Extract/Transform/Load)に関する知識領域が「データ統合と相互運用性」です。
蓄積されたデータから必要なものを抽出(Extract)し、目的に応じて変換(Transform)してから、データを必要とするシステムに格納(Load)する処理のことを指します。
▷リンク:DMBOK【データ統合と相互運用性】わかりやすいまとめ
データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス
データウェアハウスはDWHと略されます。
ビジネス上で必要となる、様々なデータを保管しておく箱を示します。
ビジネスインテリジェンスはBIと略されます。
データの可視化や、トラッキングをができる仕組みを指します。
これらを組み合わせることで、ビジネスデータを使いやすい形で提供する知識領域が「データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス」です。
▷リンク:DMBOK【データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス】わかりやすいまとめ
ドキュメントとコンテンツ管理
ビジネスに有用なデータは、正規化されたデータばかりではありません。
ワードやエクセルで作成した報告書や、設計書なども重要なデータ資産となります。
これらの非構造化データの管理に関する知識領域が「ドキュメントとコンテンツ管理」です。
▷リンク:DMBOK【ドキュメントとコンテンツ管理】わかりやすいまとめ
参照データとマスターデータ
商品マスターや、顧客マスターなど、全データの基本となっている要素であり、常に最新の状態となっているデータをマスターデータと呼びます。
そして、データどおしを紐づける役割のデータを参照データと呼びます。
同じデータが複数存在するなど、現場に混乱が生じない様に、マスターデータマネジメント(MDM)を正しく実施する為の知識領域が「参照データとマスターデータ」です。
▷リンク:DMBOK【参照データとマスターデータ】わかりやすいまとめ
メタデータ管理
データを管理する為のデータをメタデータと言います。
どんなデータが、どこに、どのセキュリティレベルで保管されているのかを、一元管理できるようにします。この様な知識領域が「メタデータ管理」です。
データ品質
データの欠損や不備は、データ活用に支障をきたします。また、データ不備が発生すると、復元には多大な労力がかかります。そうならない為に、データの品質を維持する知識領域が「データ品質」です。
データセキュリティ
顧客の個人情報など、取り扱いに注意が必要なデータが多く存在します。
データのセキュリティレベルを管理し、アクセス権限をコントロールすることが重要です。
事業継続に重要なセキュリティの考え方に関する知識領域が「データセキュリティ」です。
▷リンク:DMBOK【データセキュリティ】わかりやすいまとめ
データガバナンス
ここまで紹介した各知識領域の内容について、シッカリとガバナンスを効かせた状態で運用できることが重要になります。経営層が現場まで介入し、ガバナンスコントロールする為の知識領域が「データガバナンス」です。
まとめ
データマネジメントの知識を体系的にまとめ上げた【DMBOK】について御紹介しました。
データマネジメントに重要な知識が、11の領域に分けて紹介されているので、自身の興味関心が強い所から学び始めるのも良いかもしれません。
例えばあなたが企業の「情報システム部」であり、普段のお仕事はインフラ整備や、システムの保守が主な内容だったとします。
そんなあなたが上司から「会社のDXを推進してくれ」と言われていたとしましょう。
新しい事業を創出する様な、華やかな【事業改革DX】をいきなり推し進められるでしょうか?
どの様な打ち手を実行するとしても、デジタルを活用するのであれば、その土台作りは必ず必要になります。データマネジメントの考え方を理解して、環境や運用を設計することは、必要なデータを有用な形で取得・保存し、ビジネス発展の為に活用することにつながります。
例えば、AIを使った業務改善や事業改革を提案したとしても、AIに食わせるデータが無い、あるいは、品質の悪いデータとなってしまっては、AIから得られる示唆は正しくないものになってしまいます。
自社のビジネスのありたい姿を整理して、データをどの様に活用するのか、そして、その為にどうやってデータを取り扱うのかを検討することは、一見地味な作業に見えるかもしれませんが、業務改善、あるいは、事業改革のどちらのDXにもつながる、超重要な作業なのです。
「DXについて本気で考察した記事」はコチラから、
「DXについてもっと学ぶ・学んでもらう為の記事」はコチラから、
ぜひ参考にしてみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。