DXの【事例紹介】ギターの「フェンダー」がデータ活用で新たなビジネス
とある企業のDXパートナー、いねおけです
豊かな日本で暮らす為
日本プロダクト(製品)の競争力向上に貢献したい
コチラを紹介します
ギターを手に取るキッカケも時代に合わせて変化します
ミュージシャンやロックスターへの憧れだけではギターが売れない時代に
「データ活用」で新たなビジネスモデルを構築したフェンダー社の事例紹介です
今回は
こんな順番で紹介していきます
消費者が求めているものはギター(モノ)では無くて「ギターが弾ける自分(体験)」だった!確かに説得力ありますね
CEOアンディ・ムーニー
フェンダー社の2021年調査によると、パンデミック以降にギターを手にした米国人の新規プレーヤーは1,600万人
ギター需要が急増しているそうです
このトレンドを強力に後押ししたのがフェンダー社のCEOアンディ・ムーニー氏
創業70年を超える老舗ギターブランドの新CEOとして2015年から手腕を振るう彼は、ナイキやディズニー、クイックシルバーなど大手アパレル、ライフスタイル、エンターテイメント企業で身につけた経営ノウハウをフェンダー社に反映しているそうです
アンディ・ムーニー氏がフェンダー社には「データ収集」が必要だと考えるに至ったキッカケがユニークなので御紹介します
正しく「課題」を見つける為に、業界初ともいわれる詳細な「データ収集」を実施
世界中のギター・プレイヤーについて、その属性や要求を調査したそうです
データ分析・活用
調査結果から5つ事実が判明したそうです
調査結果からこの女性たちはアコースティックギターを買う傾向にあり、しかも楽器屋で購入するのではなくオンラインで手に入れていることもわかったそうです
最も衝撃的だったというのが「初心者の立ち回り」について
ギター購入者における初心者の割合45パーセントという比率の大きさと、その初心者のうち90パーセントもの人が1年以内に脱落してしまうという事実
音楽が好きで、ギターを愛してやまない姿勢でフェンダー社に勤務している限り、「すぐにギターをやめる人の気持ち」など自分達では考え付かない様な行動パターンだったかもしれませんよね
ギター購入者はレッスンにお金をかける。それはプライベートレッスンの様な伝統的な方法ではなく、オンラインで授業を受ける方式であることも判明したそうです
この後に紹介する「Fender Play」サービスにつながる調査結果だったと言えます
初心者の中で脱落しなかった10パーセントは、生涯で5〜7本のギターを所持し、アンプやアクセサリーも購入するそうです
「一生ギターを弾き続ける」生涯現役の姿勢で音楽にコミットする人生はユーザーの目線から見ても幸せそうに感じますね
Fender Play
データ収集、分析の結果からサービス提供を開始した会員制のオンラインレッスンが「Fender Play」
ギター、ベース、ウクレレの完全学習アプリであり、25万人の有料登録者が利用しているとのこと
パンデミックによる巣ごもり時間の過ごし方も、結果として後押しとなり、新しいプレーヤーや再び楽器をはじめる人たちが増えました
「辞めてしまう90パーセント」を引き留めることが出来れば、新しいプレーヤーは一生涯の顧客となってくれることがデータから明らかになっています。フェンダー社の視点では「顧客との長期感の関係構築」を実現し、顧客の視点では「ギターがひける自分を実現できる」このFender Playサービスはまさにwin-winなビジネスの典型ではないでしょうか
体験を売る
「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」
(レビット著書:マーケティング発想法)
あまりにも有名なマーケティング界の名言ですが
Fender Playもまさにこれ
「ギターを買った人が欲しいのはギターではなく『かっちょいい自分』である」
みたいな
巨大な会社の舵を切り、リスクをコントロールしながら新規市場を獲得することは容易ではありません
正しく舵を切るために…
データ収集・分析をすることで成功の確率を上げた!
無数にある可能性の中から「勝ち筋」を見定めた!
データ活用の素晴らしい成功事例だといえます
デジタル前提のサービス展開
一方で「楽器ができるようになりたい人に楽器を教える」なんて当たり前だよね
例えば「ヤマハ音楽教室」なんて昔からあって、ピアノを教えているじゃない
そんな風に考えることもできそうです
明確な違いとしては、Fender Playは「オンラインレッスン」を前提としたサービス設計になっている点が、DXっぽいなと感じるもう一つの要素です
昔からある対面での授業ではなく、パソコンやスマホアプリを前提としたサービスを展開することで、素早い事業立ち上げ・ユーザー獲得・サービス拡充を後押ししています
まとめ
ギターの老舗フェンダー社のサブスクサービス
Fender Play(フェンダープレイ)をDX的な事例として紹介しました
フェンダー社自身が「これはDXだ」などとは言っていないのですが
社長や会社の基本思想として
- 「新しいところへ参入するには他がやっていないことを絶対にやるべき」
- 「プレイヤーの声を聞く」
- 自分たちが作りたいものではなく「プレイヤーが必要としているもの」を作る
このように語っています
こういった「目的」を叶える為の「手段」としてデジタルを活用する姿勢
そして、「ギターを作って売る」という従来のビジネスから一歩外に踏み出して「ギターを挫折せず続けられる体験を売る」という新規ビジネスを確立し、従来のビジネスにも好影響を与える
改革をデジタル技術で実現し顧客満足度を向上した、DXの好事例だと私は考えます
以上、参考になれば嬉しいです