【非機能要件】の丸投げ禁止!考慮するべき事項。
とある企業のDX応援団、いねおけです。
今回のテーマは
ソフトウェアやシステムの開発、あるいは、選定において、使いやすさや安全な環境構築など、機能面以外の要件のことを指します。
要件定義の3要件
システムの導入や入れ替えに向けて、序盤に検討を行うのが「要件定義」です。
要件定義では、システムに組み込む要望をまとめる作業を行います。
この要件定義は、その性質によってさらに3つに分解して考えると、整理・理解しやすくなります。
非機能要件とは
開発・導入するITシステムの、動作以外の部分で求められている要件のことを指します。
ソフトウェアの品質や運用の手順など、機能以外の側面に関連する要件です。
システムの利用者が、普段は意識せずに利用している領域の機能に関する要件なので、ユーザーにヒアリングをしても必要事項を網羅することは難しいと言えるでしょう。
システムの管理者や、情報システム部門など、保守・運用を担当している人員や、システム導入に対する豊富な経験や知識をもつ人員によって定義される必要があります。
一方で「細かな使い勝手」や「日々の安定利用」に関連する内容が多く、「ユーザーの満足感」に直結する要件であるともいえます。
非機能要件の例
IPA発の非機能要求グレードによると、以下の様な大項目に分けて非機能要件が定義されています。
可用性(システムサービスを継続的に利用可能とする為の要求)
- 運用スケジュール(稼働時間・停止予定など)
- 障害、災害時における稼働目標
性能・拡張性(システムの将来性、および将来のシステム拡張に関する要求)
- 業務量および今後の増加見積もり
- システム化対象業務の特性(ピーク時、通常時、縮退時など)
運用・保守性(システムの運用と保守のサービスに関する要求)
- 運用中に求められるシステム稼働レベル
- 問題発生時の対応レベル
移行性(現行システム資産の移行に関する要求)
- 新システムへの移行期間および移行方法
- 移行対象資産の種類および移行量
セキュリティ(情報システムの安全性の確保に関する要求)
- 利用制限
- 不正アクセスの防止
システム環境・エコロジー(システムの設置環境やエコロジーに関する要求)
- 耐震/免震、重量/空間、温度/湿度、騒音など、システム環境に関する事項
- CO2排出量や消費エネルギーなど、エコロジーに関する事項
非機能要件に関する注意点
一品一葉な機能要件とは違い、非機能要件は類似ケースや他社事例など、過去の積み重ねが大量にあり、ある程度、一般化・体系化されていることを把握しておきましょう。
先に紹介した、IPA発の非機能要求グレードもその一つです。
また、セキュリティなど、日々の情報更新スピードが早い領域の知識が必要です。
IT技術、情報処理系の知識のアップデートを欠かさない姿勢や仕組みが必要であり、そういった情報が反映された組織、人員によって非機能要件を定義する必要があります。
「よくわからないから、ベンダーにおまかせ…」
と、したくなりがちな領域ですが、ベンダー(受注者)側に都合の良い提案を押し付けられたり、本来は必要な要件が抜け漏れたりしない様に注意しましょう。
まとめ
非機能要件とは、開発・導入するITシステムの、動作以外の部分で求められている要件を指します。
ユーザー目線で要件をまとめることは難しいものの、細かな使い勝手や、日々安定した環境で利用する為に重要であり、システム運用中の満足感に直結する重要な要件です。
こちらの記事も是非、合わせて参考にしてください
▷リンク:【機能要件】とは?実現したいことを正しく定義して伝える
▷リンク:ノックアウト要件とは?ベテランほど当たり前に考えているけど、新人に伝えるのは難しい勘所
最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪